介護職の仕事においては、お年寄りなど体がうまく動かない利用者に対する、日常生活でのサポートが中心になります。
このため、食事や入浴あるいは排泄など、あらゆる生活シーンで介助を適切に行うための、知識やスキルが必要になります。
それだけでなく、利用者の身体の異常を素早く察知できる、優れた観察力を身につけることも大事です。
そのためには普段から利用者の身体の状態や、持病の症状などをよく把握して、いつでも迅速に対応できるように準備しなければなりません。
介護現場での利用者は、心身に何らかの障害や疾病を抱えているケースがほとんどです。
仮に症状が現れても、言語障害があれば自身の体調の変化を伝えることができません。
また高齢者であれば、既に病気に羅患しているにもかかわらず、症状を自覚できないケースさえあります。
利用者の健康状態を見た目だけで判断すると、介護現場では取り返しのつかない結果になることも、十分にあり得ます。
そうならないためにも、介護者には常に利用者の観察を怠らないように意識して、少しでも素早く異常発見に気づく姿勢が求められます。
もし介護現場で利用者の心身の異常に気づいたら、速やかに医療職へ報告し、適切な指示を仰ぐことが大切です。
特に高齢者の場合には、症状の現れ方が健全な成人とは異なるため、介護職の自己判断だけで処置するのは危険。
したがって、どんなに些細に思われるようなことでも、医師や看護師など専門の医療職へスムーズに連絡できる仕組みを、あらかじめ介護現場で作っておくことが必要になります。